ナスを栽培する時、生育に必要な養分の素として、肥料を与えます。
ナスは次々と花を咲かせて実をつけるため、肥料を多く必要とするといわれています。
もちろん、肥料切れを起こせば、生育不良や収量減の原因になります。
けれど、あまりにも多くの肥料を与えると、それはそれで不調が起こるのです。
今回は、色々ある要素の中でも、ホウ素が多すぎた場合の生理障害です。
ナスがホウ素過剰になると、どのような症状が出るのでしょうか。
[ナス ホウ素過剰]
■主な症状
・黄化と褐色斑点
ナスがホウ素過剰になると、まず葉の黄化が始まります。
葉全体が均一に黄化するというよりは、斑状に黄化していきます。
黄化のさらに先にいくと、黄化した部分が茶色く変色します。
黄化は葉脈間に起こりますが、葉脈も鮮やかに残ることはなく、
うっすらと葉脈が見える程度に薄まります。
最終的には、葉は黄化部分と褐色斑点の部分がたくさんでき、
だらりと力をなくしたように落葉します。
■主な原因
・ホウ素の過剰施用
土栽培の場合、人為的にホウ素を多量に与えなければ、
ホウ素過剰はほぼ起こらないといわれています。
ホウ素欠乏を気にしてホウ素を多量に施用すれば、
ホウ素が多すぎる状態となります。
・酸性土壌
ホウ素過剰は、酸性土壌であっても、発生が増えます。
酸性土壌の方が、ホウ素の吸収量が増えるためです。
同じホウ素過剰でも、土が酸性に傾いていればいるほど、症状がひどくなります。
■対策
・アルカリ性資材とホウ素
ホウ素過剰は、ホウ素の過剰施用と酸性土壌が主な原因となります。
そのため、まずは酸性土壌を中和しましょう。
まず、土が本当に酸性になっているのかどうか、酸度のチェックを行います。
酸度を計測するものは、市販されているもので十分です。
特別高い機器を使用する必要は、ありません。
酸度は、7を中性として、数値が0に近い(低い)ほど酸性に傾き、
14に近い(高い)ほどアルカリ性に傾いていることが分かります。
ナスは、6.0~6.5くらいの弱酸性を好みます。
酸性に傾きすぎているのであれば、石灰などのアルカリ性資材を使い、中和します。
土の酸度を調整した上で、ホウ素を過剰に施用しないよう、注意します。
・水を流す
表層は酸性になっている場合、下層が砂礫などの水はけの非常に良い状態であれば、
水を多量に流すことによって、除塩して酸度を調整することもできます。
多量の水を流す方法であれば、苗を定植した後でも試すことができます。
ただ、砂礫かどうかわからないという場合は、
やはりアルカリ性資材を使った方が確実です。
アルカリ性資材を足して酸度を調整するのであれば、
定植前の土作りの段階で行います。
■判断基準
ホウ素は土に定着しにくい要素だといわれています。
そのため、自然にホウ素が蓄積して、ホウ素過剰となることが少ないのです。
一般的な施肥状態であれば、ホウ素過剰になることも少ないですが、
使用する肥料の成分などは、あらかじめチェックしておきましょう。
■参考
・ナス 種からの育て方
・ナス 地植えの育て方
・ナス プランターの育て方
・ナス 鉢の育て方
・ナス 受粉のコツ
・ナス わき芽かき 摘芯
・ナス 更新剪定