ナスの生育は、植え付ける苗と用土で、ほぼ決まります
ナスを育てていると、今がどういう状態なのか気になることがあります。
草勢が弱ければ実付きが悪くなり、草勢が強くてもすぐにバテたり、
何等かの弊害が生まれる可能性があります。
ちょうど良い草勢や、草勢が強すぎる時、弱すぎる時に、
ナスはどのようなサインを出すのでしょうか。
[ナス 草勢の見方]
■草勢がちょうど良い時の特徴
ナスの生育が順調で、草勢もちょうど良い時の目安になるのは、
開花している位置と花の状態です。
こまめに見回りをして、草勢の具合を把握しておきましょう。
少し草勢が強いですが、花や蕾は良い位置にきています
・開花位置
草勢を見るなら、花が咲いている位置をまず見ます。
生長点から15cm~20cmくらいの場所に、開花中の花があるのが理想的です。
開花中の花の上には、葉が3枚~4枚あり、この葉には先端の小さなものも含みます。
場合によっては、開花中の花の上にもう1つ蕾がついていますが、
開花していなければ蕾は気にしなくても構いません。
雌しべの先端が出ているので良い状態です
・長花柱花
草勢の目安になる、もう1つの場所は、花の内側です。
ナスは1つの花に、雌しべと雄しべが存在する植物です。
中央に雌しべがあり、その周りに雄しべが並びます。
この雄しべよりも、雌しべの先端が出ている状態であれば、長花柱花と呼ばれ、
草勢がちょうど良い状態と判断できます。
■草勢が強すぎる時の特徴
草勢が強すぎると、一見すると元気で状態が良いように見えますが、
結果として悪くなることがあります。
草勢が強すぎるということは、栄養生長に傾きすぎています。
栄養生長に傾きすぎているということは、花付きや実付きが悪くなり、
樹ボケ状態となることがあります。
草勢が強すぎる時のサインが出ていたら、すぐに対応しましょう。
葉の色が濃く、上を向いていて、やや草勢が強いです
◎草勢が強い時の特徴
・色が濃い
葉色や花弁の色がやたらと濃い時は、草勢が強すぎるサインです。
原因は肥料過多によるもので、色が濃く出ているのがその証拠です。
ただ、ナスにもたくさんの品種があります。
品種によって、葉色や花色には多少の濃淡があるので、
標準の色を覚えておくようにすると、違いにすぐ気付けます。
・展開葉が多い
ちょうど良い草勢の場合、開花中の花より上に、3枚~4枚の葉があります。
草勢が強いということは、茎葉を伸ばしてぐんぐん生長している状態です。
そのため、開花中の花の上には、
ちょうど良い時よりも多くの葉が展開している状態となります。
・主枝や葉が立つ
草勢が強い状態になると、枝葉がよく茂ります。
そのため、主枝や葉が立ち気味になるサインがあらわれます。
誘引しているわけでもないのに、通常よりも枝が上向きに伸びる時や、
葉が横にならず上がっている時は、草勢が強い時です。
葉や茎が大きく暴れています、葉や茎の色も濃いです
・主枝が太い
草勢が強いということは、枝葉を茂らせて株を大きくしている状態です。
そのため、葉色が濃くなったり、枝が立ち気味になったりというサインが出ます。
これらの他に、主枝が太くなる、というサインも出ます。
栄養が豊富にありすぎるため、枝が通常よりも太くなるのです。
◎対策
・枝を寝かせて誘引
立ち上がり気味になっている枝を、普段よりもやや寝かせた状態で誘引します。
枝を寝かせて誘引することにより、伸ばす力が弱まり、草勢を抑えることができます。
・確実に着果させる
ナスは枝を伸ばしながら、順に花を咲かせて実をつけます。
草勢が強い時は、着果もれがないようにしておくと、
実を育てるために体力を使うため、あり余った体力を使わせることができます。
ナスは、1か所に複数の花がつくことがあり、通常は摘花することが多いですが、
草勢が強い時はすべての花に着果させることで、草勢をコントロールできます。
・葉かきを行う
葉は光を受けて養分を作る場所です。
葉かきを行って枚数を減らすことで、作る養分を減らし、草勢を弱めます。
・肥料を減らす
与えている肥料の量や頻度、種類などを今一度見直しましょう。
ちょうど良いと思っている量や頻度でも、ナスにとっては多すぎる場合があります。
現在は葉や花の色が薄く草勢が弱いですが、追肥で持ち直しそうです
■草勢が弱すぎる時の特徴
草勢が強い時とは反対に、見るからに弱々しい草勢の弱いナスを見ると、
とても心配になります。
けれど、見るからに弱い状態になる前から、サインは出ているかもしれません。
早めに対策を行っておくことで、回復も早くなるので、サインを見逃さないようにします。
◎草勢が弱い時の特徴
・葉が少ない
開花している一番上の花より上の葉が、1枚か2枚くらいでは、
草勢がかなり弱い状態です。
葉が少ないということは、それだけ次の葉や花を作り出す体力がない状態、
ということになります。
・短花柱花
ちょうど良い草勢の時に見られる、長花柱花とは反対に、
雄しべから雌しべが顔を出しておらず、埋もれた状態になることがあります。
これを短花柱花と呼び、栄養が足りずに草勢が弱い状態を示しています。
・色が薄い
葉色や花弁の色が薄い時は、草勢が弱っています。
草勢が強い時と同様に、基準となる色を覚えておくと、異常にいち早く気づけます。
草勢が弱いというか株が疲れているので、実を早めに収穫し樹の手入れをしたいです
・葉が小さい、垂れる
通常よりも葉が小ぶりで、下に垂れている状態は、草勢が弱まっているサインです。
・枝が細い
草勢が弱いと、枝が細くなります。
特に主枝にサインが出やすいのが特徴です。
◎対策
・実は早めに収穫
草勢が弱いということは、体力がなくなってきているということです。
着果した実をいつまでも枝につけていると、それだけで体力が奪われます。
ナスは若どりした方が果肉も柔らかくみずみずしいので、
あまり長く枝につけたままにせず、若どりを心がけましょう。
・土を乾燥させない
ナスはもともと水を好む植物ですが、土が乾燥していると、
肥料の効きが悪くなり、草勢が弱まります。
ナスが好む適度な湿度を保つため、毎日の土のチェックは欠かせません。
・肥料の葉面散布
肥料切れによって草勢が弱まっているのであれば、肥料の葉面散布が効果的です。
肥料は土にかけるものと思っている方が多いですが、
意外と葉からも栄養の吸収できます。
薄めた液体肥料を葉面散布するだけでも、効果が期待できます。
・誘引を遅らせる
草勢が弱いということは、生育が遅くなっています。
あまり伸びた端から誘引すると、余計に草勢が弱まることがあります。
ある程度枝が伸びてから誘引しましょう。
・摘花する
1か所に複数の花がついた場合、生育の良いものを残し、あとは摘花します。
すべての花に実をつけると、余計に体力を奪われてしまうこととなるので、
早めに摘花しましょう。
■参考
・ナス 種からの育て方
・ナス 地植えの育て方
・ナス プランターの育て方
・ナス 鉢の育て方
・ナス 受粉のコツ
・ナス わき芽かき 摘芯
・ナス 更新剪定