つやなし果、原因は何でしょうか?
ナスといえば、紫色をしていて、表面にはつやつやとした照りがあるイメージです。
もちろん、品種によって色が濃いものと薄いものがありますし、
ゼブラ柄や緑色、白色などの品種もあります。
けれど、どの品種にも共通しているのが、表面の「ツヤ」です。
この表面のツヤがない実を「つやなし果」と呼びます。
つやなし果は、なぜ発生するのでしょうか。
[ナス つやなし果]
■主な症状
・果皮の光沢がない
つやなし果の症状は、見てすぐにわかります。
通常であれば、ナスの実の表面はつやつやとしていますが、
つやなし果の場合は、表面のつやがありません。
ナスの実の表面がつやつやとしているのは、実の表面に凸凹が少なく、
なめらかなためです。
ところが、つやなし果はなんらかの原因で実の肥大がうまくいかず、
表皮が凸凹になります。
表面が凸凹になると、光の当たり具合が通常と異なるため、
ツヤが出なくなるのです。
つやなし果は、色がぼけたように感じることから、ボケナスと呼ばれることもあります。
■主な原因
・水分不足
ナスの実には、たっぷりの水分が含まれています。
そのため、実が肥大してくる時期に水分が不足すると、
肥大不良が起こりやすくなります。
路地栽培であっても、時期やその年の天候によっては、
雨が降らなかったり、土が乾燥しやすくなることがあります。
また、近年は異常気象の影響もあり、雨が降る時には集中して降り、
降らない時はまったく降らないということも少なくありません。
降っても土の表面が軽く湿る程度しか降らなければ、土はすぐに乾いてしまいます。
プランターや鉢で栽培している場合、梅雨明け後などに気温が急激に上がると、
それまでとはうってかわって土が乾きやすくなります。
プランターや鉢栽培は、地植えよりも土の量が少なく、
水分を保持する力が弱いので、乾燥に注意しましょう。
また、生育がピークに入ると、着果していない初期よりも、
たくさんの水分を欲しがるようになります。
ナスが消費する水分と、土に含まれている水分のバランスがとれず、
水分不足となるケースも多いです。
草勢の衰えもつやなし果の原因です
・草勢の衰え
実の肥大期の水分不足のほかに、草勢の衰え自体も、
つやなし果の発生を助長します。
実の肥大がスムーズに行えるということは、株全体の生育も正常であることの証です。
生育不良や着果過多、肥料不足などによる草勢の衰えには、注意が必要です。
着果数が多い場合は水やりを増やしてあげましょう
■対策
・適度な水やり
ナス栽培を失敗する原因で意外と多いのが、過乾燥や加湿です。
ナスは水分を多く必要とする野菜ですが、生育段階によって、欲しがる量は変わります。
定植後すぐくらいは、まだ葉数も少なく、ようやく花が咲いたくらいの状態です。
まだ気温もあまり高くないこともあり、水分が多いと加湿になります。
反対に、すでにいくつも着果し、株自体も生長して葉数も増えて、気温も高いのに、
栽培初期と同じような水やりの頻度では、水不足となって過乾燥になります。
ナス栽培では、適度な水やりを心掛けることが、とても大切なのです。
適湿の状態を保つことができれば、土中の肥料成分を吸い上げるのもスムーズになり、
生育不良や成り疲れも起こりにくくなります。
若採りして草勢を維持すると、美しくおいしい実がつきます
・草勢維持
水やりと同じくらい大切なのが、草勢の状態を見ることです。
水や肥料の管理を、基本の通りに行うのはもちろんですが、
栽培している土の状態や天候によって、
基本の通りに行うだけでは過不足が出る場合もあります。
草勢の状態を見ることによって、株の生長と着果した実の肥大の勢いを止めないよう、
対処ができます。
草勢維持ができれば、着果した実の肥大もスムーズになり、
つやなし果の発生も抑えることができます。
■判断基準
すでにつやなし果になった実は、何をしてもツヤが戻りません。
早い段階で管理を見直して対処すれば、
草勢も戻って肥大も順調になり、ツヤのあるおいしい実を育てることができます。
一日のうちにどれくらい枝が伸びているか、
咲いた花の雌しべは雄しべよりも頭が出ているかなど、
草勢を見極める方法もいくつかあります。
こまめに見回りをして、ナスの状態を把握しておきましょう。
■参考
・ナス 種からの育て方
・ナス 地植えの育て方
・ナス プランターの育て方
・ナス 鉢の育て方
・ナス 受粉のコツ
・ナス わき芽かき 摘芯
・ナス 更新剪定