収穫時のナス、ちょっと元気がなさそうです
ナスを育てる時には、色々な要素が必要になります。
十分な日照時間や水分はもちろん、株を生長させて実を肥らせるために、
肥料も欠かせません。
ナスに限らず、植物を育てる時には、チッソ・リン酸・カリの3つの要素が基本となり、
市販されている肥料にも、この3つの要素が基本として含まれています。
この基本となる3つの要素の中でどれかが欠けると、欠乏の症状が出るようになります。
基本の3つの要素の中でも、カリウムが足りない状態になると、カリウム欠乏となります。
ナスのカリウム欠乏では、どのような症状が出るのでしょうか。
[ナス カリウム欠乏]
■主な症状
・黄化と白斑
ナスがカリウム欠乏になると、葉に異変があらわれます。
異変の出方には2種類あり、どちらか片方だけ出る場合もあれば、
両方出るパターンもあります。
まず1つ目は、葉の黄化です。
葉の縁から黄化が始まり、徐々に広がっていきます。
症状が進んだ葉は、最後に落葉します。
2つ目は、白斑が出るという症状です。
葉に不整形な白っぽい斑点が出て、徐々に斑点の数が増えていきます。
すでにカリウムが足りていない場所に定植した場合は、下葉から症状が出ますが、
実の肥大期にカリウム欠乏となった場合は、着果した近くの葉から症状が出ます。
■主な原因
・カリウム不足
カリウム欠乏が出る原因の多くは、カリウムが不足することです。
たら、通常の土栽培の場合は、
カリウムが土にほぼない状態ということは起こりにくいといわれています。
ほんのわずかに足りていない程度であれば、強い症状が出ることは稀です。
ただ、実が肥大する時期になると、葉からのカリウム転流が多くなります。
この時、カリウム不足の状態になると、
実にカリウムが転流した葉にはカリウムが補われないため、
カリウム欠乏の症状が出ます。
・マグネシウムとの拮抗
土に十分なカリウムが含まれているにも関わらず、カリウム欠乏が出ることがあります。
その原因は、他の養分との拮抗によるものです。
土には基本となるチッソ・リン酸・カリのほかに、カルシウムや鉄、亜鉛、銅、マンガン、
マグネシウムなど色々な成分が含まれています。
これらの成分のバランスが崩れると、特定の成分同士の拮抗作用が強く出てしまい、
なんらかの過剰や欠乏の症状が出るようになります。
カリウムの場合、チッソやカルシウム、マグネシウムとの拮抗作用があります。
この中でも、マグネシウムは要注意です。
■対策
・カリウムの葉面散布
カリウム欠乏の症状が出た場合、塩化カリウムを葉面散布することによって、
症状を軽減することができます。
散布する塩化カリウムは、1%~2%液が適当です。
・土壌の肥料バランス
土栽培では、カリウム不足は出にくいとはいえ、
カリウムと拮抗作用の出やすい成分を多く加えれば、
カリウム欠乏になる可能性は高くなります。
元肥や追肥に使用する肥料は、チッソとカリウムが同等のものがのぞましいです。
また、マグネシウムを豊富に含む苦土石灰などを、
過剰に使わないようにすることも、カリウム欠乏を予防することにつながります。
■判断基準
症状が出ているのを見つけたら、早めに対処することです。
早めに原因を究明して対処することで、回復も早まります。
■参考
・ナス 種からの育て方
・ナス 地植えの育て方
・ナス プランターの育て方
・ナス 鉢の育て方
・ナス 受粉のコツ
・ナス わき芽かき 摘芯
・ナス 更新剪定