ナスは、上手に管理して育てれば、夏から秋まで長く栽培を楽しめる野菜です。
水分をたっぷりと含み、体を冷やす効果もあるといわれているため、
夏には欠かせない食材です。
ナスも夏野菜の中では定番の野菜で、比較的育てやすいですが、
管理の仕方によっては、不調が起こることもあります。
ナスがチッソ欠乏になると、どのような状態になるのでしょうか。
[ナス チッソ欠乏]
■主な症状
・色が薄くなる
ナスがチッソ欠乏になった時に出る症状の代表として、
葉色が薄くなるというものがあります。
ナスの葉は意外と大きく、その葉で太陽光を受けて光合成をし、
株全体を生長させたり、おいしい実を育てます。
葉の色が薄くなると、光合成がうまくできなくなることがあるため、
生育不良につながります。
また、症状がひどくなると、葉の色が薄くなるだけでなく、落葉してしまいます。
落葉すれば、それだけ光合成できる葉の枚数が減るため、
こちらも生育不良の大きな原因となります。
葉色が薄くなる時、葉全体が薄くなる場合も多いですが、
他の栄養素も不足している場合は、全体が均一にならず、
まだらに薄くなることもあります。
色が薄くなるのは、葉だけではありません。
ナスの花といえば、紫色の美しい色をしていますが、花色も薄くなります。
単純に色が薄まるだけでなく、どことなくくすんだような色になるのが特徴です。
■主な原因
・チッソ不足
チッソ欠乏は、単純に土の中にチッソが足りない時に出やすくなります。
ナスを含めた果菜類を栽培する時、樹ボケやツルボケを避けるために、
チッソを控えめに施用することがあります。
もちろん、草勢の強い品種などであれば、
元肥や追肥でのチッソを控えめにすることがあります。
けれど、極端に減らしすぎると、やはり不調が出るのです。
チッソ・リン酸・カリは、肥料の基本となる要素ですが、
どれが欠けてもうまく育ちません。
チッソは、枝や葉を育てる要素のため、不足すると葉色が薄くなったり、
株全体の生育も悪くなります。
元肥や追肥を基本に沿って行うのはもちろん、
使用する肥料の成分にも注目しましょう。
チッソ・リン酸・カリが同等のものか、リン酸がやや多めのものがナスには適しています。
極端にどれかが多いものや少ない肥料は、避けます。
■対策
・有機質に注意
チッソ欠乏は、プロの農家ではあまり起こらず、
どちらかというと家庭菜園で出ることが多いそうです。
家庭菜園では、農家よりも規模が小さく、栽培する株数も少ないということもあり、
手をかけることができます。
また、食育や健康への配慮から、有機栽培を目指す方も多いです。
もちろん、有機栽培は良いことではありますが、肥料設計を間違えると、
チッソ欠乏などの生理障害が起こりやすくなります。
有機質肥料や堆肥を使う時、どのような素材を使ったものかによって、
含まれているチッソ・リン酸・カリの配合率がまったく異なります。
化学肥料とは違い、均等に作られたものではないため、
どのようなものをどれくらい入れるかが重要になります。
家庭で出た野菜くずなどを堆肥化させて利用する方も多いですが、
そういった植物性の堆肥はチッソが少ないことが多いです。
チッソが元から少ないものをどれだけたくさん与えても、
チッソ不足が解消されることはないので、チッソを含むものと併用する必要があります。
市販されている有機質配合肥料などには、
必ず成分が書かれているので、確認してから施用しましょう。
・チッソを足す
チッソ欠乏の症状が出たら、チッソを加えることで解決します。
チッソ肥料は、水分にとけやすいという特徴があるため、チッソ肥料を加えた後は、
たっぷりと水を与えておくのがポイントです。
ナスの場合、元から水分要求量が多いため、
あまり乾燥した状態にはなりませんが、過乾燥にならないよう注意します。
■判断基準
チッソ欠乏の場合、下葉から徐々に黄変が広がっていくのが特徴です。
もし落葉するまで症状が進んでいる場合は、
チッソを加えるなどして対処するのはもちろんですが、
落ちた葉を必ず取り除いておきます。
落ちた葉をそのままにしておくと、株元の風通しが悪くなり、
他の病害虫の原因となります。
■参考
・ナス 種からの育て方
・ナス 地植えの育て方
・ナス プランターの育て方
・ナス 鉢の育て方
・ナス 受粉のコツ
・ナス わき芽かき 摘芯
・ナス 更新剪定