ナスは高温を好む野菜で、比較的育てやすいということもあり、
夏から秋にかけての家庭菜園でもとても人気があります。
基本的には丈夫なナスですが、健全に育てるためには、
不足がないよう管理する必要があります。
ナスの栽培中に、鉄が足りない状態になると、鉄欠乏という状態になります。
ナスが鉄欠乏になると、どのような症状が出るのでしょうか。
[ナス 鉄欠乏]
■主な症状
・葉の均一な黄変と白化
ナスが鉄欠乏になると、葉に異変が出ます。
新芽や上位の葉に、黄化や白化の症状が見られるようになります。
葉の黄化は、他の生理障害などでもよく見られますが、
鉄欠乏の場合は、葉全体の色が均一に薄くなるのが特徴です。
葉脈も含め、ほぼ同じように薄くなっていきますが、
葉脈の中でも太い部分には、色が残ることがあります。
黄化が進むと、色が抜けきって白っぽくなることもあります。
・根が弱る
土栽培をしていると、地上部の葉だけが目立ちますが、
実は地下の根にも症状が出ています。
鉄欠乏となったナスは、地下の根も茶色く変色していることが多く、
しかも弱々しくなっています。
■主な原因
・アルカリ性土壌
鉄欠乏を起こしているナスを栽培している土や養液を調べると、
アルカリ性になっていることが多いです。
ということは、栽培している土や養液がアルカリ性になっていると、
鉄欠乏になる可能性が高いということになります。
また、重金属元素が過剰に含まれている場合も、
鉄の吸収が阻害され、鉄欠乏になります。
■対策
・土壌潅注と葉面散布
鉄欠乏の症状が出たら、鉄を補給することで改善する可能性が高いです。
補給方法には、葉面散布と土中潅注があります。
葉面散布の場合は、硫酸鉄やクエン酸鉄などの単独資材0.2%の濃度で散布します。
土壌潅注の場合は、キレート鉄などが使えます。
鉄の場合、葉面散布よりも潅注の方が、効果が出やすいのでお勧めです。
・酸度の調整
鉄欠乏の症状が出たら、まずは土や養液の酸度をチェックしましょう。
アルカリ性に傾いている場合は、石灰などのアルカリ性資材の施用を控えます。
水耕栽培などの養液栽培の場合は、
養液を入れ替えるなどして、養液の酸度を調整します。
鉄欠乏の症状が出ているにも関わらず、
土がアルカリ性になっておらず、むしろ酸性に傾いているということがあります。
これは、土が酸性になることによって、亜鉛が過剰に溶け出し、
鉄の吸収が阻害されていることが考えられます。
この場合は、石灰などのアルカリ性資材を使って中和し、
適切な酸度に調整することで、症状を改善できる可能性が高くなります。
■判断基準
鉄欠乏の症状が出ているとしても、単純な鉄不足とは限りません。
土の酸度によって、根本となる原因が変わるので、注意が必要です。
見分け方としては、土の酸度と鉄の補給による改善が見られるかどうかです。
酸度がアルカリ性であれば鉄不足、酸性であれば亜鉛過剰が考えられます。
また、鉄の補給によって改善するのであれば、単純な鉄不足です。
■参考
・ナス 種からの育て方
・ナス 地植えの育て方
・ナス プランターの育て方
・ナス 鉢の育て方
・ナス 受粉のコツ
・ナス わき芽かき 摘芯
・ナス 更新剪定