晩秋のナス
ナスは夏から秋にかけて、たくさんの実をつける野菜です。
家庭菜園でもとても人気のある野菜ですが、秋が深くなって気温が下がってくると、
自然と枯れてしまうのが普通です。
ナスは冬越しできない野菜なのでしょうか。
[ナス 冬越し]
■ナスの冬越しは可能か?
ナスは暖かい気候を好み、寒さが苦手です。
そのため、日本で栽培する場合、秋が深くなって気温が下がり、
霜がおりるようになってくると、いくら元気に育っていたナスであっても、枯れてしまいます。
けれど、実はナスは一年草ではなく、多年草の植物なのです。
日本では冬の寒さによって枯れるため、一年草扱いとなっていることがほとんどですが、
管理の仕方によっては、冬越しも夢ではありません。
ナスの生育温度は、15度~35度くらいです。
そのため、15度よりも低い気温になると、生育が止まります。
5度以下になって寒さが厳しくなると、
徐々に弱り、霜がおりたり氷点下になると、枯死します。
このように寒さに弱いため、ナスは冬越しができないと思われがちですが、
反対に考えると、枯れない程度の気温さえ保ってあげれば、
冬越しは可能ということになります。
■ナス 冬越し
ナスは冬越しが可能な野菜ですが、寒さに弱いナスを枯らさずに冬越しさせるためには、
特別な管理が必要となります。
15度以上を保つことができれば、生育を続けさせることも可能ですが、
一般家庭では現実的ではありません。
収穫はのぞめませんが、半休眠の状態で冬を越し、
春以降にまた収穫を狙った方が、成功率が上がります。
冬越し前や冬越し中に必要な管理をまとめたので、参考にしてください。
・冬越し前の強剪定と植え替え
冬越しをさせるためには、室内への取り込みが必要となります。
戸外では日当たりを確保しやすいものの、夜間の冷え込みが気になります。
いくらホットキャップなどで保温していたり、軒下に置いていたりしても、
やはり夜の冷え込みによって根や地上部が傷み、枯れやすくなります。
室内と戸外の出し入れを実現するためには、鉢に植えておく必要があります。
夏に栽培している時、地植えをしている株であっても、
鉢やプランターで栽培していた株であっても、一度地上部を強剪定し、
根を整理して小さめの鉢に植え替える必要があります。
まずは、鉢への植え替えです。
鉢は7号くらいのサイズが適切です。
あまり浅いものは選ばず、ローズポットなど少し深めのものか、
普通くらいのものがお勧めです。
それまで植えていた鉢やプランターから根鉢を抜き、割り箸などを使って根をほぐします。
傷んで茶色くなった根などを取り除いた後、7号鉢に入るサイズに根をカットします。
新しい培養土を使って7号鉢に植え付けたら、
鉢底から透明な水が出てくるまでたっぷりと水を与え、植え替えは完了です。
地植えにしていた株の場合は、スコップなどで掘り上げます。
その後、根をほぐしてカットし、7号鉢に植え付けて水を与えます。
植え替えが終わったら、次は剪定です。
更新剪定よりも強く剪定するので、初心者の方は勇気が必要かもしれませんが、
余計な葉や枝を残しておくと、その分寒さに当たりやすくなる上、
水分の蒸散量が増えます。
根を切っているので、葉からの蒸散量が多いままだと、水分のバランスが崩れてしまい、
冬越し中に枯れる原因となります。
剪定する箇所は、人によって様々ですが、主枝に2芽残して切るのがお勧めです。
2芽だけ残すと、伸びていた枝もなくなり、葉もなくなります。
見た目は単なる棒のようになりますが、これで問題ありません。
春になって気温が上がってくると、残した芽の部分から新芽が伸びてきて、
再び枝も伸び始めます。
2芽残した時に、大きな葉が残るようであれば、葉はすべて取り除いてください。
小さな芽のみ枝に残すことで、蒸散量を減らすことができます。
・日当たりと寒さよけ
日当たりが良い場所の方が、気温が高く暖かいのでお勧めです。
室内の日当たりの良い窓辺か、暖かい日の日中は戸外に出しても良いでしょう。
ただし、日が暮れる頃になったら、必ず室内に取り込みます。
窓際は冷気が伝わりやすいので、室内に置いているものも、窓から離しておくと安心です。
暖かい場所を好みますが、暖房器具の熱や風が直接当たる場所は避けましょう。
乾燥が進んで芽が傷みます。
また、暖房が効いた部屋に置いていると、日中に生育温度帯に入り、
中途半端に生育することがあります。
日中は暖房によって暖かい部屋も、夜間は暖房を切って冷え込みが強くなります。
昼夜の温度差が強すぎると、ナスにとってストレスになることもあるので、
できれば暖房が効いていない、
日当たりが良くて暖かい部屋に置いておくのがベストです。
・水と肥料
冬越し中は、基本的にほとんど生育していません。
そのため、株を大きくしたり実をつけたりするための肥料は、必要ありません。
むしろ肥料を与えることで、切ったばかりの根が傷むことがあるので、要注意です。
生育していない冬越し中も、適度な水分は必要です。
土が乾燥しすぎると、かえって根を傷めます。
かといって、常に湿った状態では根腐れを起こします。
お勧めなのは、植え替えて水を与える前の鉢の重さと、
水を与えた後の鉢の重さを覚えておくことです。
鉢土の表面が乾いている程度では、中はまだ湿っていることがあります。
この状態で水を与えると、根腐れの原因となるので、
できるだけ土が乾燥してから与えるようにします。
そのために必要なのが、水を与えていない時の重さです。
水を与えた時のように重いうちは水やりを控え、
水を与えていない時の軽い状態になったら、またたっぷりと水を与えます。
こうすることで、乾湿の差が生まれ、根腐れや過乾燥を防止することができます。
春以降、新しい芽が生長を始めたら、根が水分を吸い上げる量も少しずつ増えてくるので、
通常の水管理に戻します。
この時も、本格的な生育が始まるまでは、必ず土が乾いてから与えるようにします。
■参考
・ナス 種からの育て方
・ナス 地植えの育て方
・ナス プランターの育て方
・ナス 鉢の育て方
・ナス 受粉のコツ
・ナス わき芽かき 摘芯
・ナス 更新剪定