ナスを育てる時、苗を定植した後は、原則として植え替えを行うことはありません
けれど、日当たりや連作、ほかの植物との相性などちょっとした思い違いで、
植え替えが必要になることがあります。
ナスは栽培途中で植え替えても良いのでしょうか。
[ナス 植え替えても良い?]
■ナスの苗を植え替えても良い?
ナスは5月頃に定植し、順調に育てば初夏頃から収穫が始まります。
上手に管理すれば、秋になって気温が下がり、
寒さで株が枯れるまで栽培することができます。
初心者でも育てやすい夏野菜のため、
家庭菜園にチャレンジする時に育ててみる方も多いでしょう。
ところが、初心者の方には、ナスがどれくらい生長するかは未知の領域です。
これくらいで大丈夫だろうと、適当な大きさの鉢に植えて育ててみたら、
あっという間に大きくなって根詰まりを起こした、という話をよく聞きます。
また、地植えにしたものの、場所があまり良くなく、
できれば植え替えて別の場所に移動させたり、ということもあります。
苗を植え付けたばかりなら、植え替えができます、根をくずさないように
定植してすぐの頃であれば、また掘り返して別の鉢やプランターに植え替えたり、
別の場所に移動させて植え替えることもできます。
けれど、定植してから2週間以上経つと、
ナスは根が活着して生育して広がるようになります。
この頃よりも後になると、どうしても根を切る確率が高くなるため、
ナスへの負担がかなり高くなります。
ナスはそれほど弱い植物ではありませんが、水分を必要とする野菜なだけに、
水分を吸う器官である根を切るのは、相当の負担となります。
できれば途中で植え替えが必要にならないよう、
最初から大きめの鉢やプランターに植え付け、
栽培環境をきちんとチェックしてから栽培場所を決めるようにします。
ただ、どうしても植え替えが必要となった場合は、
枯れてもともとという気持ちで、植え替えに挑戦することもできます。
■根を動かさない植え替えを行う
ナスの植え替えを成功させるポイントは、やはり根を極力さわらないことです。
根を切ると、どうしても水分を吸い上げる力が低下してしまい、
株が急激に弱る原因となります。
ナスの植え替えを行う時の注意点をまとめました。
このくらい生長したナスは、植え替えがかなり難しいです
・根を切らない
まずは根を切らないことです。
鉢やプランターに植えている場合は、
根鉢を崩さないようにそっと抜き、新しい大きい容器に植え替えます。
一回りか二回り大きい容器に、すっぽりと根鉢を入れて新しい土を足せば、
ほぼ根を切らずに植え替えが可能です。
地植えにしている株の場合は、できるだけ広い範囲の土ごとスコップで掘り上げ、
スコップなどに載せたまま新しい場所に移します。
地植えの場合は、どこまで根が伸びているか見えないので、
必ずといっていいほど根は切れます。
根の切れる量が少なければ少ないほど、植え替え後の回復が早くなるので、
できるだけ慎重に作業を行いましょう。
・地上部を剪定する
根を切っても切らなくても、ナスに負担がかかることに変わりはありません。
環境が変わるだけでもストレスを感じるため、根の動きが弱まることがあります。
根の動きが弱まると、水分や養分をうまく吸い上げることができなくなり、
地上部の葉が萎れます。
地植えからの植え替えで根を切ったのであれば、なおさらです。
根の負担を軽くするために、地上部の剪定を行います。
枝はそれほど短く切る必要はありませんが、
不要な枝がある場合は、この機会に切ってスッキリさせておきましょう。
不要な枝がない場合は、葉の数を少しだけ減らしてみると良いでしょう。
また、ナスは実を育てるためにも、たくさんの水分を必要とします。
植え替えを行う時は、収穫できる実は収穫し、
収穫するには小さいような実も、切り取っておくようにしましょう。
苗を移動するときは、熟した実と小さな実、不要な葉も取ります
・根を乾かさない
ナスの根は乾燥に弱い性質があります。
植え替える時に、根鉢を地上にさらした状態でもたつくと、根が乾いて傷みます。
植え替える時は、必ず植え替え先の準備を済ませておきましょう。
少し時間がかかる場合は、バケツに水を張り、
その中に根鉢ごと入れて水を吸わせておく方法もありますが、
早く植え替えを済ませた方が、成功率が上がります。
■更新剪定が狙い目
ナスの栽培期間中、1度だけ根を思い切り切っても良い時期があります。
それが、更新剪定の時期です。
暑さを好むナスも、真夏になる頃にはすでにたくさんの実をつけた後ですし、
暑さによってバテてきます。
この時期を利用して、根と地上部の枝を切ることにより、
養生させて秋にまたおいしい実を収穫するというのが、更新剪定の狙いです。
更新剪定を行うことにより、切られた根は養生中に新しい根を広げ、
それと同時に地上部は新しい葉や枝を伸ばし、花芽をつけます。
この時ばかりは根を切るので、それを利用して植え替えが可能になります。
ただし、植え替えをして環境が変わることで、余計なストレスがかかります。
同じ根を切る作業であっても、初期の植え替えと初秋の更新剪定では、
ナスにかかる負担が異なります。
更新剪定時期に植え替えても、必ず植え替えが成功するわけではありません。
■参考
・ナス 種からの育て方
・ナス 地植えの育て方
・ナス プランターの育て方
・ナス 鉢の育て方
・ナス 受粉のコツ
・ナス わき芽かき 摘芯
・ナス 更新剪定