ナスを育てる時、色々な要素が必要になります。
基本となるチッソ・リン酸・カリのほか、鉄やカルシウム、
マグネシウムなどの微量要素も重要です。
何かが欠ければ、欠乏状態となって不調が出ます。
何らかの要素が足りずに出る不調を、生理障害と呼びますが、
要素が足りているにも関わらず、別のことが原因で、
生理障害とよく似た症状が出る場合もあります。
ナス栽培では、ホウ素欠乏と似た症状の、
ホウ素欠乏類似症というものが発生することがあります。
ホウ素欠乏類似症とは、どのようなものなのでしょうか。
[ナス ホウ素欠乏類似症]
■主な症状
・新芽の萎縮、芯止まり
ホウ素欠乏類似症は、その名の通り、ホウ素欠乏の時と似たような症状が出ます。
新芽が波打って萎縮し、奇形となります。
ひどい場合には、葉がくしゃくしゃになってまったく伸びないこともあります。
さらに症状がひどくなると、新芽部分がまったく生長せず、
小さいまま枯れたようになります。
そのまま新芽が生長することはなく、芯止まりとなって生長が止まります。
ナスは枝が伸びて、節に花芽がついて着果します。
そのため、新芽が伸びずに止まってしまうと、新しい節ができず、花芽も形成されません。
花がつかなければ着果もできず、収量が激減します。
・葉の光沢
ホウ素欠乏類似症では、ホウ素欠乏とよく似た症状が出ますが、
一点異なる部分があります。
それが、葉の光沢です。
ナスの葉は、表面に光沢がほとんどなく、マットな質感です。
ところが、ホウ素欠乏類似症の症状が出ると、葉の表面に、
べったりと油を塗ったような光沢が出ます。
一見すると、光沢が出て元気なように見えなくもありませんが、
正常な葉と異なるということは、異常が出ているという証拠です。
■主な原因
・チャノホコリダニの被害
ホウ素欠乏類似症は、名前の通りホウ素欠乏とよく似た症状が出ます。
けれど、葉の光沢があるという点で、類似症であることが分かります。
葉の萎縮や奇形、べったりとした光沢が出るという症状は、
チャノホコリダニの被害が出ている時の症状です。
葉の萎縮や奇形、芯止まりといった症状がホウ素欠乏と酷似しているため、
症状の原因を特定するのが遅れる場合があります。
チャノホコリダニを含めたホコリダニ類は、
高温乾燥の環境で発生しやすいのが特徴です。
■対策
・チャノホコリダニの防除
ホウ素欠乏類似症の原因がチャノホコリダニなら、
予防するためにはチャノホコリダニを防除することが一番です。
チャノホコリダニに効果のある薬剤を、予防的に散布すると良いでしょう。
また、高温乾燥の環境を好むので、適湿を心掛け、
乾燥がひどい場合は、葉水を与えるなどしておくと良いでしょう。
■判断基準
ホウ素欠乏類似症は、チャノホコリダニが原因で起こります。
ホウ素欠乏との違いは、油を塗ったような葉の光沢と、葉裏に寄生する虫の有無です。
チャノホコリダニは体がとても小さく、肉眼では見えにくいので、
虫メガネなどを使って観察し、害虫がいるかどうかをチェックしましょう。
■参考
・ナス 種からの育て方
・ナス 地植えの育て方
・ナス プランターの育て方
・ナス 鉢の育て方
・ナス 受粉のコツ
・ナス わき芽かき 摘芯
・ナス 更新剪定