ナスを日々観察すると青枯病など病害虫防除につながります
ナスがかかる病気に、青枯病があります。
青枯病はナス以外の多くの植物がかかる病気で、しかも治療が難しいのです。
発生すると他の植物にも影響が出る、とても厄介な病気です。
症状が分かりやすいため、発見しやすいのが救いとも言えます。
青枯病にかかった場合の症状を知り、
発見した時の対処法も確認しておきましょう。
[ナス 青枯病]
■青枯病の症状
はじめは株の上の方にある葉が、昼間に萎れる症状が出ます。
萎れた葉は、夜になると元の状態に戻り、
翌日に晴れるとまた日中は萎れるという状態を繰り返します。
葉が萎れて戻る状態が2日~3日ほど続いた後、
株の中部から下部の葉にも、同じような症状が出始めます。
青枯病は症状の進行が早く、頭頂部に症状が見られると、
1週間ほどで株全体が萎れるようになり、そのまま枯れてしまいます。
進行が早く、株が青い状態のまま枯死に至るため、青枯病の名前がつきました。
症状が出て枯死するのも早いですが、1株だけで終わらないのが青枯病です。
隣の株など、周りにある植物にも伝染するため、
症状の出た株を見つけたら、迅速な対処が必要となります。
茎や根が茶色く変色しますが、萎ちょう病より変色は少ない場合が多いようです。
症状の出ている茎を切って水に挿すと、切り口から白く濁った液体が出てきます。
この液体には、茎の中で繁殖した菌が含まれています。
どちらかというと高温期に起こりやすい病気です。
地温が20度を超える頃から発病し始め、25度以上になると激増することもあります。
■青枯病の原因
青枯病の原因となる菌は、おもに根から侵入します。
過湿や高温、乾燥、肥料過多などが原因で根に傷ができた時、
その傷から菌が入り込みます。
茎の中を水や養分が通る道を、維管束(いかんそく)と呼びます。
この維管束の中で菌が増えることで、水分や養分がうまく流れなくなり、
葉が萎れる症状が出るようになります。
菌は土の中にいるため、基本的には根から侵されますが、
プランターなどの容器栽培でも青枯病にかかることはあります。
この場合は、土からの感染ではなく、葉や茎にできた傷からの侵入が考えられます。
青枯病に感染している株の茎などを切る時に使ったハサミを、
感染していない株にそのまま使うと、切り口から菌が入って感染します。
ハサミなどを滅菌すると安心です
■青枯病の対策
青枯病は、感染すると治療ができないため、
まずは感染しないように気を付けるようにします。
まずは根からの侵入を防ぐため、根を傷つけないようにします。
水はけの悪い土では、根が湿気で傷んでしますため、
土の水はけを良くしたり、畝を高くしておきます。
肥料を株元近くに与えると、根に直接当たり傷めるので注意します。
また、土の状態にも配慮します。
青枯病の菌は、酸性よりも中性の土で繁殖します。
土作りの時に苦土石灰を加えて酸度を調整するようにしますが、
苦土石灰を入れすぎると良くありません。
苦土石灰は、入れるほど良いということではないので、量は加減します。
以前に青枯病が発生した場所では、菌がまだ残っています。
栽培を始める前に、熱を利用したり、
バリダシン液剤やクロールピクリンなどの薬剤を利用して土壌消毒をします。
容器栽培の場合は、古土を利用せず、新しい用土を使った方が安心です。
また、青枯病に耐性のある接ぎ木苗も販売されていますので、
そちらを育てるのもお勧めです。
間株が狭いと病害虫にやられやすいです
■青枯病に感染したら
青枯病は、周りの株への感染も早い病気です。
発病株を見つけたら、すぐに掘り上げて処分します。
感染した株には、菌が繁殖している状態です。
掘り上げた株はその場に放置せず、必ず焼却か地域の決まり通りに処分します。
また、感染している株に使ったハサミなどの道具も、菌が付着している場合があります。
感染株が発見される前から、道具類を使った後は消毒しておく方が良いでしょう。
発病株が見つかったら、処分に使った道具は必ず消毒します。
さらに株を触った手も消毒してから、別の株の手入れをするようにします。
■参考
・ナス 種からの育て方
・ナス 地植えの育て方
・ナス プランターの育て方
・ナス わき芽かき 摘芯
・ナス 更新剪定