元気に育って実をつけてくれると嬉しいです
ナス栽培では、「樹ボケ」と呼ばれる症状が出ることがあります。
この樹ボケとは、どのような状態を指すのでしょうか。
また、「樹ボケ」の予防策や対処法をご紹介していきます。
[ナス 樹ボケ]
■ナス 樹ボケとは?
ナスを栽培していると、茎葉ばかりが元気に育ち、
花付きや実付きが悪い、という状態になることがあります。
このようなナスの症状を「樹ボケ」と呼びます。
ナスは育つ時に、
栄養生長=茎葉を茂らせる、
生殖生長=開花し実をつける、
という2つの生長を繰り返しながら、
株を大きくしつつ実をつけます。
ところが樹ボケになると、樹ばかりが茂って、花や実がつきにくくなります。
これは栄養生長が盛んになりすぎたために、
生殖生長ができなくなった状態ともいえます。
ナスの他にも、トマトやウリ科の野菜にも起こることがある症状です。
草丈が低い、葉色が濃い、葉が大きすぎる……樹ボケです、この後うどんこ病にかかりました
■ナス 樹ボケの原因
ナスが樹ボケになるのには、もちろん原因があります。
基本に沿って育てているつもりでも、何か見落としがあるのかもしれません。
・肥料過多
ナスは肥料と水分をよく好みます。
そのため、肥料をたくさん与えても問題ないと思うことがありますが、
肥料の与えすぎは、植物に悪影響を与えることも多いです。
むしろ肥料を与えすぎると、
枝葉が茂って栄養生長に傾きやすくなり、樹ボケになります。
肥料に含まれている成分の中でも、特に窒素が多い場合は注意してください。
窒素は、枝葉を育てる成分です。
そのため、窒素過多の状態になると、枝葉ばかりが茂りやすくなります。
また、窒素過多になると株全体が軟弱に育ち、害虫を寄せやすくなります。
ナス苗の植え付けは、1番花の蕾が開花しそうな頃が適しています
・植え付けが早かった
ナスの苗の植え付け適期は、1番花の蕾が開花しそうな頃です。
これよりも早い段階で植え付けをすると、
栄養生長に傾きやすくなり、樹ボケを起こしやすくなります。
植え付けには早い、小さな苗を購入した場合は、ポット植えなどをして育苗し、
植え付けに適したサイズになるまで待ち、植え付けをした方が良いでしょう。
・樹ボケが原因ではない
実付きや花付きが悪くても、樹ボケを起こしているとは限りません。
枝がよく伸びて葉が大きく育ち、葉色も濃い場合、樹ボケの可能性が高いです。
けれど、特に繁茂している様子がないのに、
実付き・花付きが悪いと感じることがあります。
これは、肥料や水分が足りなかったり、栽培環境が合わないなどの理由によって、
株が十分に生育できない状態にある可能性が高いです。
ナスの樹の周りを観察すると、蕾がついても咲かずに落ちていたり、
着果した実が落果したり、大きく育っていない場合があります。
これらは樹ボケというよりも、株がうまく育っていないために、
花付きや実付きが悪くなっている状態を示しています。
栽培環境や水やり・追肥の見直しをすることで、改善する可能性が高くなります。
肥料が多いのか、花が付き過ぎています
■ナス 樹ボケの対策
ナスが樹ボケにならないようにするためには、ある程度の予防策が必要です。
また、樹ボケに注意して育てていても、樹ボケを起こすこともあります。
そのような時の対処法をご紹介します。
・樹ボケを予防する
樹ボケを起こさないためには、肥料過多を避け、過繁茂にならないようにします。
窒素の多い肥料は避け、窒素・リン酸・カリのバランスが良いものを選びます。
さらに、肥効を出そうと、多量の肥料を与えたり、水を与えたりすると、
過繁茂の原因になります。
規定量を守って肥料を与え、様子を見ながら量を加減します。
また、栄養生長と生殖生長のバランスをとりやすくするため、
苗の植え付け適期は守るようにします。
・樹ボケになったら
枝葉が茂り過ぎていると感じたら、摘葉するのが改善の近道です。
ナスの葉は意外と大きくて、面積が広いです。
この広い葉に光を受けることで、光合成をしてたくさんの養分を作ります。
摘葉することによって、光合成して作る養分の量が減るため、
過繁茂を抑えることができます。
ただし、一度に摘葉する葉の枚数は、1枚~4枚にとどめます。
5枚以上くらいの摘葉をすると、
樹勢が弱まりすぎ、急激に調子を崩す原因となりやすいです。
■参考
・ナス 種からの育て方
・ナス 地植えの育て方
・ナス プランターの育て方
・ナス 鉢の育て方
・ナス 受粉のコツ
・ナス わき芽かき 摘芯
・ナス 更新剪定