ナスは肥料食いの野菜とよくいわれます
肥料食いでも、規定以上の肥料を与えていると、
ナスは肥料を吸い上げ切れず、土の肥料濃度が高くなってしまいます。
多肥を好むナスであっても、肥料焼けを起こして調子を崩すことがあります。
ナスが肥料焼けを起こす原因や、肥料焼けの症状などをご紹介します。
[ナス 肥料焼け]
■肥料焼けとは
土の肥料濃度が高くなりすぎたり、根が肥料に直接触れた状態になると、
ナスは、根から調子を崩し肥料焼けを起こします。
肥料、特に化成肥料は、簡単に例えると塩のような作用があります。
肥料は水分を吸い、その水分に肥料成分が溶け出て周りに広がります。
そのため、肥料の近くに水分の多いものがあると、
浸透圧の力で、肥料はその水分を吸いこもうとします。
肥料に直接根が触れていると、
根の水分を肥料が吸ってしまうため、根が著しく傷みます。
根が傷めば、地上部にある葉にも傷みなどの症状が出てしまいます。
また、根の傷み具合によっては、地上部が急に枯れることもあります。
枯れるほど根の傷まなくても、根が回復し正常に機能するまで、
地上部がうまく育たなくなることもあります。
肥料は与えれば与えるほど良いわけではありません。
薬も過ぎれば毒になるように、肥料も与えすぎは禁物です。
葉の縁を見ると、肥料焼けのようです
■肥料焼けの症状
肥料焼けとは、つまり肥料濃度が高くなることによって根が傷むことです。
ですが、目に見えない地中の根は確認することができません。
では地上部にはどのような症状が出るのでしょうか。
根が傷むことによって、地上部にうまく水分が運ばれないようになるため、
水切れを起こした時のように、葉先が焼けて枯れたようになります。
他にも、葉の色が黒ずんだり、縁が巻いたようになることもあります。
葉に症状が出るのは肥料焼けだけではありません。
けれど、葉はナスの健康バロメーターであり大切なチェック場所です。
水やりの時など、こまめにチェックしておくことで、発見が早くなり、
それだけ早く対処することもできます。
対処が早ければ、回復して生育する可能性も高くなるので、
日々の葉や樹勢のチェックは怠らないようにしましょう。
ナス専用の肥料を規定量与えるのが安心です
■肥料焼け予防
肥料焼けを起こしやすいたいみんぐ時期は、苗の植え付け直後と追肥後です。
苗を植え付ける時、まずは土作りを行いますが、
この時にきちんと土と肥料が混ざっていないと、
肥料が直接根に触れて肥料焼けを起こしやすいです。
肥料が根に近い方が効きが良いだろうと、
植え穴の底に肥料を入れて植え付ける方がたまにいますが、
これは肥料焼けを引き起こしやすくするので、やめておきましょう。
植え付け直後は、根が伸びて周りの土まで伸びていくのを待つ期間なので、
肥料はほとんど必要ではありません。
まだ小さい苗のうちに、大量の肥料を与えてしまうと、
肥料焼けを起こしたり、軟弱に育って病害虫に侵されやすくなります。
植え付け直後も問題なく、しばらくは順調に育っていた場合も、
追肥の後に肥料焼けを起こすことがあります。
追肥を行う時、株元に近い場所ではなく、少し離れた場所に与えるようにします。
また、肥料を与えすぎるのもいけません。
化成肥料の場合は2週間に1回、
液体肥料の場合は1週間に1回くらいが目安となります。
頻度を守っていても、肥料の量や濃度が高ければ、肥料焼けを起こします。
定期的に肥料を与えていても、肥料切れのサインが出ている場合は、
一度に与える肥料の量を少し増やす程度にして、
基本的には規定量を与えるようにします。
■肥料焼けしたら
肥料焼けの対処法は、地植えも容器栽培も共通です。
肥料濃度が高いので、まずは濃度を下げることから始めます。
与えている肥料が玉状やタブレット状などの固形肥料の場合は、
与えた肥料を土から取り除きます。
以前に与えた固形肥料が残っている場合は、
肥効期間が過ぎていたとしても、一緒に取り除くようにします。
粒状の肥料の場合は、細かいので取り除くのは難しいことが多いです。
ただ、土と混ぜ合わせていない場合は、表面に残っていることがあるので、
表面の土を一度取り除き、肥料を含んでいない新しい土をかぶせておきます。
液体肥料の場合は、物理的に取り除くことができないので、土を触る必要はありません。
次に濃度を薄めるため、大量の水を与えるようにします。
化成肥料は水分を含むことによって、肥料成分が外に出ます。
その肥料成分をさらにたくさんの水で流すことで、濃度を下げることができます。
液体肥料を与えたいる場合も、水を与えることで肥料成分を流し、
濃度を下げることができます。
1日に1回、朝の水やりの時に、いつもの3倍くらいの水を与えるようにします。
3日ほど続けると、肥料成分が抜けて濃度が下がり、根が回復に向かう可能性があります。
ただし、長期間続けると、今度は過湿となって、
根を傷めることがあるので、苗の調子を見ながら水やりします。
水で肥料濃度を薄めるのと同時に、株を少し休ませてあげましょう。
根が傷んで株が弱っているため、ナスが衰弱している場合があります。
日当たりの良い場所に置くのは変わりませんが、
夕方以降の強い直射は避けるようにします。
肥料焼けが7月下旬以降に起きたら更新剪定をするのも良いです
特に植え付け直後の場合は、まだ株も弱いので、西日は避けます。
肥料焼けを起こしたのが、ひとしきり収穫した後の7月下旬~8月上旬であれば、
いっそ更新剪定をするのも1つの方法です。
肥料焼けに気づき、早めに対処することができれば、根の回復も早くなります。
回復が早くなれば、その分早く生育状態も戻りやすくなります。
肥料焼けの症状を見過ごさず、
見つけた時に放置せずにすぐ対処するように心がけると好結果につながります。