ナスも夏野菜の中ではとても人気があり、毎年たくさんの苗が店頭に並びます。
基本的には丈夫で育てやすい野菜ですが、
栽培中は病害虫や生理障害に注意した方が、栽培の成功率が上がります。
ナスに起こる可能性がある生理障害にも色々あります。
必要となる養分が足りず、欠乏となる場合もあるのですが、
症状が似ていることで、原因の特定が遅れることがあります。
今回は、ナスのマグネシウム欠乏と症状が似ている、マグネシウム欠乏類似症をご紹介します。
[ナス マグネシウム欠乏類似症]
■主な症状
・葉の黄化
マグネシウム欠乏類似症のおもな症状は、葉の黄化です。
葉の黄化自体は、他の生理障害でも見られる症状ですが、黄化の仕方が変わります。
マグネシウム欠乏類似症は、マグネシウム欠乏とよく似た症状を出します。
マグネシウム欠乏の症状が、葉脈を残した葉の黄化です。
葉脈の近くから黄化が始まりますが、
葉脈は緑のまま残り、葉脈間のみが黄化します。
マグネシウム欠乏類似症の症状もよく似ていて、葉脈間が黄化します。
ただ、マグネシウム欠乏と異なるのが、よく見てみると、
葉脈間が全体的に黄化しているのではなく、細かいかすり状に黄化している点です。
また、葉裏を見た時、虫が何も観察されないのが、マグネシウム欠乏です。
葉裏にハダニ類が寄生しているのを見つけたら、それはマグネシウム欠乏類似症です。
■主な原因
・ハダニの被害
マグネシウム欠乏類似症となる原因は、ハダニ類による食害です。
ハダニ類は、害虫の中でも級汁系です。
葉の裏などに寄生し、植物の汁を吸って生長します。
体が小さいことと、葉裏などの見えにくい場所に寄生していることが多いため、
被害が出てもすぐに発見できないことが多いです。
級汁した部分は色が抜け、黄化したようになります。
ハダニの細い針のような口が差し込まれた部分が黄化するため、
葉の表面から見ると、かすり状に黄化するのが特徴です。
■対策
・ハダニ類の防除
ハダニは、高温乾燥の環境や、風通しの悪い環境を好みます。
そのため、梅雨明け後に気温が上がり、
乾燥が進むとハダニ類の被害が出やすくなります。
マグネシウム欠乏類似症自体は、何かの栄養素が足りないわけではありません。
けれど、ハダニ類の被害が出ているというサインなので、見逃すことはできません。
マグネシウム欠乏類似症を出さない=ハダニ類の被害を出さない、ということです。
風通しの良い環境を作り、乾燥が気になる場合は葉水を与えるようにします。
特に葉裏にシャワーを当てるようにして葉水を与えると、
湿度を高くするだけでなく、葉裏にくっついたハダニ類を吹き飛ばすこともできます。
他にも、ハダニ類に効果がある薬剤を、
被害が出ている場所に散布するのも良いでしょう。
ハダニ類に効果のある薬剤の中には、被害が出ていないうちであっても、
予防的に使えるものもあります。
■判断基準
マグネシウム欠乏類似症は、生理障害かと思いきや、
害虫被害で起こる症状です。
軽い生理障害だろうと見過ごしていると、
後で大きな被害に発展することもあります。
原因を特定するため、葉の黄化だけでなく、
葉裏に害虫が潜んでいないかも、こまめにチェックしましょう。
■参考
・ナス 種からの育て方
・ナス 地植えの育て方
・ナス プランターの育て方
・ナス 鉢の育て方
・ナス 受粉のコツ
・ナス わき芽かき 摘芯
・ナス 更新剪定