ナス、とげなし千両二号の一番花(05.25)
ナスは花を咲かせた後、受粉することで着果して実が肥り始めます。
花が咲いたとしても受粉できないと、
そのまま落ちてしまうので、実がならず収穫にいたりません。
ナスの受粉方法を確認して、状態や環境に合わせて、
ホルモン剤を使ったり人工授粉することで結実するようにできます。
[ナスの受粉方法は?]
■ナスの受粉方法は?
1.風に任せる
基本的に、ナスは人工受粉も虫の媒介もなしに受粉できます。
ナスの花には雌しべと雄しべの両方があり、花が咲き雄しべの先端から花粉が出ます。
雌しべは雄しべに囲まれた状態になっているため、雄しべから花粉が出てくれば、
自然と受粉できるような構造になっています。
風によって軽く花が揺れるだけでも、本来であれば受粉ができる植物です。
虫の飛来が少ない高層階でのベランダでも、
風が吹くことで自然に受粉できることが多いです。
もし自然に受粉ができなかった場合には、
何が原因かを考え、手入れや環境を変えたり、
人工的に受粉するなどの工夫が必要になります。
2.虫に任せる
風によって受粉するのと同じように、虫によって受粉することも多いです。
ハチやハエ、チョウなどの虫が花の中でごそごそと動くで、
雄しべから出た花粉が雌しべの先端に付着するため、受粉できます。
畑などで地植えにしていたり、3階くらいまでの低層階であれば、
虫がどこからともなく飛来して、受粉してくれます。
マンションの高層階など、栽培場所によっては虫がこないこともあるため、
その場合は虫による受粉はできません。
基本的には風による受粉が可能なので、
虫による受粉は補助的なものと捉えておいても良いでしょう。
虫は来ますが、柔らかい筆で必ず人工授粉しています
3.人工受粉する
風と虫に受粉を任せてみても、
どうしても実付きが悪い場合は、人工受粉をしてみましょう。
人工受粉といっても、特に難しいことはありません。
風に任せる時と同じ要領で、花を少し揺らしてあげることで、
雄しべから花粉が噴出して雌しべの先にくっつきます。
花が咲いたら、花の付け根に近い部分や枝を軽く指で弾きましょう。
いわゆる「デコピン」をするようなイメージです。
これだけで簡単に花が揺れて花粉が出ます。
ただし、弾く時の力加減には注意が必要です。
あまり強い力で弾くと、花ごと飛んでいってしまうことがあります。
強過ぎないよう、まずは軽く弾いて力加減の様子をみましょう。
この方法なら、道具も何も必要ないので簡単に人工受粉を行えます。
指で弾く以外にも、筆や綿棒、耳かきの綿毛部分などを利用して、
人工受粉することもできます。
花が開いたら、筆や綿棒で花の中をくるくるとなぞるようにします。
虫が受粉するのと同じように、筆や綿棒についた花粉が雌しべにつきます。
この方法で人工受粉を行う場合も、やさしくソフトに行います。
力加減を間違うと大切な雌しべを傷つけたりして、着果できなくなります。
4.ホルモン剤を使う
植物に使うホルモン剤に「トマトトーン」というものがあります。
これを50倍に薄めて花に噴霧することで、着果率が良くなります。
ナスは最初に咲いた花を確実に着果させることにより、
その後に着果率が上がる性質があります。
一番花を着果させるかが大切になるため、
一番花だけでもトマトトーンを使って着果させるというのは、
その後の収穫量を上げるためにも有効な手段です。
ただし、トマトトーンは1つの花に1回しか使うことができません。
何度も使うと、着果した実が変形することがあります。
また、花以外の部分にホルモン剤がかかると良くありません。
特に新芽などの生長点に当たると、ホルモン障害が出ることがあります。
トマトトーンを使う時は、晴れた日の午前中が良いです。
開花から3日以内に噴霧すると効果的です。
また、一番花だけでなく、3つ目~5つ目までの花にもトマトトーンを使うと、
着果もれがなくなって実付きが安定します。