葉が大きく色が濃く肥料過多、さらにうどんこ病にかかっているのを治療中です
ナス栽培をしているけれど、うまく育たなかったり、
最初は順調だったのに、しだいに育ちが悪くなり、
大きくならないことがあります。
ナスが生育不良になるのには、いくつか原因があります。
原因を特定して解消することで、生育不良が治ることもありますし、
もし治らなかったとしても、次のナス栽培に生かすことができます。
生育不良に悩まされてもすぐに諦めず、
まず、ナスをよく観察して原因を探してみましょう。
[ナス 生育不良]
■ナスの生育不良の原因
ナスは環境や管理法が合っていれば、
暑い夏も元気に育つほど丈夫で育てやすい野菜です。
生育しないのには、育て方が間違っている場合もありますし、
苗そのものが不良であったなど、どうしようもない場合もあります。
それでも何が生育不良の原因かが分かれば、
今後どのように対処すれば良いのかがわかってきます。
元気で勢いのある接ぎ木苗
保管場所が悪く、傷んでいる接ぎ木苗
1.水、肥料不足
基本的な管理に、水と肥料があります。
ナスは水も肥料も多く欲しがる植物だといわれています。
ただ、生育に合わせて与えないと、過剰に与えることとなり、
けっきょくは生育不良に陥ることになります。
不足も過多にもならないように注意しますが、
ぴったり合った状態でなくても、おおまかにあっていれば大丈夫です。
水は、土の表面が乾いたら与えるようにしますが、
梅雨が明けた後は、気温も上がってナスの最盛期にも入るため、
晴れた日は必ず水を与えるくらいでも構いません。
肥料は、元肥を大量に入れると樹ボケを起こすことがあるので、
規定通りの量を加えてよく混ぜておきます。
その後の追肥も、規定通りに与えるのが基本で、
肥料不足のサインが出たら液体肥料を与えるなどして対応します。
生育不良が一時的なものであれば、
適切な水と肥料の管理をすることで、改善することが多いです。
肥料不足だったので肥料を多く与えたためにしおれたナス
2.根詰まり
ナスは実をたくさんつけますし、枝葉もよく育てるので、根の生育も旺盛です。
根を張るスペースが狭いと、すぐに根詰まりを起こしてしまいます。
根詰まりを起こした株は、根がそれ以上育てないのと同時に、
地上部の生育も徐々に止まります。
このため、生育不良を起こしてしまうのです。
地植えで育てる場合は、できるだけ広く深く土を耕しておきます。
鉢などの容器栽培の場合は、大きめの容器を選ぶのがお勧めです。
また、大きめの容器で育てていても根詰まりしてしまった場合は、
更新剪定をしてリフレッシュさせると良いでしょう。
3.日照不足
ナスは日照不足になると、うまく育たなくなります。
夏でも、葉に光が当たる分には問題ないので、
できる限り日当たりの良い場所で育てます。
日当たりの良い場所であっても、株が大きくなってきた時、
ナス自身の葉が陰を作っている場合があります。
そんな時は、重なっている部分の葉を摘むこと=摘葉で、
日当たりを確保することができます。
葉と葉が重なっていると、風通しも悪くなります。
葉が重なる場合や、枝が近すぎる場合は、
誘引して枝と枝を離すか、摘葉して隙間を作ります。
株間が近い場合も、隣の株と枝が近くなって日陰を作ることがあるので、
植え付け時には、40㎝以上の十分な株間をとるようにしましょう。
4.天候不順
ナス栽培にとって怖いのが、生育初期の天候不順です。
ある程度、株が大きければ、多少の天候不順にも対応できる体力があります。
ところが、まだ植え付けて間もないような小さな苗だと、
環境の変化や悪天候に対応できるだけの体力がまだありません。
そのため、曇りや雨の日が続いたり、
気温の低い日が続いたりすると、生育不良になることがあります。
気温が低い日が続く場合は、ホットキャップやビニールで、
株を囲うことで、対処することができます。
ただ、雨や曇りの日が続いた場合は、
日照不足になってしまうため、初期生育が悪くなってしまいます。
原因不明でしおれたナス
5.病害虫
病気にかかったり、害虫被害に合うと、生育が悪くなることがあります。
病気の場合は、葉などに病斑が出るなどして、何かしらサインが出ます。
こまめに見回りをして、何か異変がないかをチェックしましょう。
また、ナスがかかりやすい病気は、排水不良や多肥が原因となることが多いです。
害虫被害の場合、葉が食害されたりすると、光合成ができなくなり、
徐々に元気がなくなっていきます。
アブラムシやコナジラミなど、小さな虫でも、数が増えると被害が大きくなるので、
できる限り防除するようにしましょう。
6.連作障害
何年も同じ場所でナスを育てていると、連作障害が出ることがあります。
これは同じ場所で続けてナスを育てることで、病気にかかりやすくなったり、
害虫被害が出やすくなったり、ナスの育ちが悪くなったりする状態のことです。
病害虫は、ナスを続けて育てることで、
原因となる菌や虫が寄りやすい環境を作ってしまいます。
また、同じ場所で同じ作物を育てることで、土の中の栄養が偏よります。
連作障害によって、問題がないように見えるのに、生育不良が起きるのです。
ナスはナスだけでなく、ナス科のトマトやジャガイモを連作することでも、
連作障害が出やすくなります。
できれば毎年別の場所で育てるか、土壌消毒をして滅菌しておく必要があります。
容器栽培の場合も、古土を再利用している場合は、
連作障害が出ることがあるので注意します。
7.根傷み
水はけが悪い、センチュウなどの害虫被害、病気、肥料焼けなど、
根が傷むと地上部の株も生育が悪くなります。
根が傷む理由が色々ありますが、
排水不良や肥料焼けなどは、注意していれば防げることです。
病害虫による根傷みも、防除の方法があるので、
毎年被害が出る場合は、薬剤を使ってみるのも1つの手です。
また、すでに購入した苗自体が悪かったという場合も、残念ながらあります。
見た目は合格点でも、実際は根が弱っていたりすることもあります。
この場合は残念ですが、早期に見切りを付けて、新苗を植え付けた方が良いでしょう。
■参考
・ナス 種からの育て方
・ナス 地植えの育て方
・ナス プランターの育て方
・ナス 鉢の育て方
・ナス 受粉のコツ
・ナス わき芽かき 摘芯
・ナス 更新剪定