1番果も収穫して、元気に育つナス
ナスは肥料食いと、よく言われますね。
肥料食いと聞くと、たくさんの肥料を与えないといけない、
と思いますが、厳密にはそうではありません。
ナスにとって、肥料が必要な時とそうでない時があります。
肥料が足りている時に追肥しても、効果がないだけでなく、
肥料過多で支障が出ることもあります。
ナスが肥料不足になっている時、ナスからのサイン=合図があります。
ナスが出す肥料不足のサインには、いくつかの種類があります。
花、葉、枝を見て、総合的に判断して追肥すると、失敗が少なくなります。
[ナス 肥料不足]
雌しべの長さ、花びらの色、葉の色を観察します
■花を見る
ナスの花は、肥料不足のサインが一番分かりやすい部分です。
できれば開花したものは、1つ1つチェックして、
肥料不足になっていないかを見るのが良いでしょう。
すべての花をチェックし見分けることで、
肥料が足りているかどうかを、すぐに判断することができます。
・雌しべの長さ
肥料不足を知るのに、雌しべの長さはとても重要です。
ナスの花をのぞいてみると、黄色い雄しべが並んでいて、
その中央に薄い黄緑~白っぽい色をした雌しべがあります。
この雌しべが、周りにある雄しべよりも長いかどうかで、
肥料が足りているかを見分けることができます。
雌しべが長く花色が濃い=肥料が足りている
雌しべが短く花色が薄い=肥料が不足している
雌しべが雄しべよりも長ければ、肥料は足りている状態です。
反対に、雌しべが雄しべとほとんど同じ長さか、
雄しべに隠れてしまっている状態なら、肥料不足です。
定期的に追肥をしていても、開花した花をすべてチェックしていると、
雌しべが少し短くなっているものが出てくることがあります。
ナスの最盛期になると、同じタイミングで咲いている花の数も、
生長中の実の数も多くなってきますね。
こういった時は肥料不足になりやすく、雌しべが短くなっていくことがあります。
雌しべが雄しべよりもほんの少し長い状態の時に追肥をすると、肥料不足を回避できます。
・花びらの色
花びらの色は、品種によって少しずつ濃淡があります。
けれど、同じ品種の中や1つの株の中であっても、色が薄くなる時があります。
その場合は、肥料不足が考えられるので、即効性のある液体肥料を与えて様子を見ます。
液体肥料は、少し薄めに作って与えると、過剰になる心配がありません。
・花の大きさ
同じ株なのに、最近咲いた花が小さくなってきたら、肥料不足のサインです。
本来であれば、花の大きさは、だいたい同じくらいになります。
それが極端に小さくなっていたら、肥料不足です。
液体肥料を与えて様子を見ましょう。
・次の花
花は咲いたけれど、次に開花すべき蕾がついていない場合、
肥料不足の可能性があります。
植え付けて間もない株や、シーズンが終わる株などは、
株の生長スピードが遅くなっているので、次の蕾がなくても心配はありません。
最盛期にも関わらず、次の蕾がついていない場合、生育不良が疑えます。
他のチェック項目を総合して、原因が肥料不足であれば、追肥をしておきましょう。
葉の色も観察します、病害虫もチェックしましょう
■葉を見る
ナスの葉を見ていると、肥料不足のサインが出ていることがあります。
肥料不足の他にも、病気や害虫被害のサインも葉に出ることが多いので、
こまめにチェックしておくと、早期発見につながります。
・葉の色
葉の色の状態を見て、異常がある時は肥料不足が原因の場合があります。
下の方から順番に色が薄くなってくる場合は、窒素不足。
下から色が薄くなり、生長が悪くなるのはリン酸不足。
葉脈だけが緑色で残り、他が黄色く変色するのはマグネシウム不足。
新芽部分の葉が、葉脈もすべて黄色くなるのは鉄不足。
こういった特定の成分が不足している場合は、
それぞれに合った養液を散布するのが一般的です。
ただ、基本に沿った育て方をしていて、ナスに合った肥料を与えている場合、
こういった微量成分が不足するような症状はあまり見られません。
・葉の大きさ
同じ株なのに、他に比べて葉が小さくなったら、肥料不足かもしれません。
簡単にいうと、生育不良なのですが、原因が肥料不足とは限りません。
花の状態なども見て、総合的に結論を出しましょう。
葉の大きさや枝振りも大切です
■枝を見る
開花中の花から生長点までの長さを見ることで、生育具合が分かります。
ナスの品種によって、うまく生育している基準となる長さが違うので、
育てているナスの調子が良い時の長さをあらかじめ測っておくと良いでしょう。
目安として、中長ナスや水ナスなどは20cm~25cm、
樹勢が強めの緑色をしたナスなどは25cm~30cmです。
目安より短い場合は、肥料不足になっているので追肥を行います。
ナスは枝を伸ばしながら新しい花芽をつけるため、
枝を伸ばす力と実をつける力のバランスがとれている必要があります。
枝を伸ばす力が強くなると花付きが悪くなり、
実をつける力が強くなると枝の伸びが悪くなり、次の良い花芽がつきにくくなります。
目安よりも短くなっているということは、枝を伸ばす力が弱まっています。
実をつける方に力が強くなっているので、追肥とともに摘果を行うと効果的です。
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