ナス 放任栽培
ナスハウス栽培
ナスの基本的な育て方では、主枝を2本~3本に仕立てて、
主枝につく実と、葉の付け根から発生するわき芽にできる実を収穫し、
余分なわき芽や側枝は剪定していきます。
けれど、ナスは放任して伸ばせば伸ばすほど、花数が多くなります。
できれば余分ではあっても枝を切りたくない、
あるいは剪定位置が分からないから放任したい、ということもあるでしょう。
ナス栽培では、放任栽培は可能なのでしょうか。
[ナス 放任栽培]
■ナスの放任栽培とは?
ナスの放任栽培とは、本来必要にな剪定やわき芽かきといった作業をなくし、
文字通り放任状態で育てる方法です。
ナス栽培では必要不可欠となっている剪定を省略することで、
たくさんのナスを育てられれば、大幅な省力栽培が可能となります。
ナスを完全に放任栽培することは、難しいです
■ナスの放任栽培の条件
剪定やわき芽かきといった作業を省略でき、省力栽培が可能になりますが、
ただ単に放任するだけでは、うまく育ちません。
枝を放任してナスの好きなように伸ばした場合、
剪定やわき芽かきをしながら育てるよりも、花数が多くなります。
ところが、花数が多くなればそれだけ体力が必要ということになり、
すぐにスタミナ切れを起こして調子を崩す場合があります。
また、枝葉が密集するタイプの株姿の場合、
すぐに枝葉が過密になり、風通しと採光が悪くなります。
風通しの悪さや株の中心に光が当たらないことによって、
病害虫が発生しやすくなり、光合成もしにくいという不具合が起きやすくなります。
そのため、放任栽培を実現させるためには、2つの条件が必要となります。
1.適切な水と肥料の管理
枝の本数が通常よりも多くなり、その分たくさんの花が咲くため、
水分や肥料を多く必要とします。
しかし、単に多く与えれば良いというわけでもなく、加減が必要となります。
ナスが必要とするだけ水分と肥料を与え、
決して多すぎることのないようにするため、見極めが肝心です。
2.株の作り
ナスはどれも同じような株姿をしているように感じますが、
品種によって少しずつ異なります。
放任栽培に適した株の条件は3つです。
1.節間が長めで通風と採光に優れる
2.側枝(わき芽)の発生が緩やか
3.立性で枝が倒れにくい
この3つの性質を持った品種であれば、放任栽培を成功させやすくなります。
小ナスが放任栽培に向くと言われます。
花もたくさん付きますので、摘花します
■ナスの放任栽培の注意点
ナスの放任栽培の条件を満たしても、やはり注意するべき点はあります。
それが剪定です。
いくら剪定不要、わき芽かき不要の放任栽培といっても、限界があります。
あまりにも長く枝が伸びると、
通路まで枝がはみ出して作業しにくくなることもあります。
放任していると実付きが良すぎることが多いため、株の老化も激しくなります。
育ちが悪くなってきたなと感じたら、面倒でも剪定を行う方が良いでしょう。
タイミングがあえば、更新剪定の時期に合わせて、
栽培期間中たった1回の剪定で、長期間の栽培が可能になることもあります。
また、立性の品種でも、枝が伸びれば垂れ下がり、地面につきやすくなります。
支柱を立てて誘引することで、地面につくのを回避することも可能ですが、
マルチを利用して泥跳ねしないようにしておくことが必要です。
放任栽培といっても、苗を植え付けた後、
まったく何もしなくて良いというものではないのですね。
放任栽培だからこそ、必要になることもありますし、
不要になる作業もあることを理解した上で、チャレンジしてみてください。
*後日譚
ナスの放任栽培に関しては、
単為結果ができる「あのみのり」が放任栽培に適しているようです。
これ以外は、品種名が出てきません。
実際に育ててみた感覚では、ホームセンターのカインズとサントリーが共同で作った、
「焼いておいしい旨みナス」という品種が、割と放任でも良いのかな?という感じでした。
今年初めて見つけた品種で、1株だけ育てているのですが、
3本に仕立てるまでの手入れ以外は、ほぼ放任状態です。
ほどよく節間が広く、かつ枝が意外と丈夫です。
実が米ナスに似ているので重めなのですが、
地面にぎりぎりつかないくらいで耐えています。
花付きも実付きも良いですし、いくつか収穫もできました。
ただ、単為結果ではないので、完全な放任栽培というわけにはいきませんが、
普通に育てていれば自然と受粉はします。
■参考
・ナス 種からの育て方
・ナス 地植えの育て方
・ナス プランターの育て方
・ナス 鉢の育て方
・ナス 受粉のコツ
・ナス わき芽かき 摘芯
・ナス 更新剪定