ナス アンモニアガス障害
石灰類などのアルカリ性資材と肥料を一緒に混ぜ込むと、アンモニアガスが発生するので1週間ほどずらすと良いでしょう
ナスは、実がつき始めると、次々と花を咲かせて実をつけます。
丸々と肥った実をたくさん収穫できると、とても嬉しいです。
定植後、順調に生育すれば良いのですが、
思いがけないトラブルが起こることもあります。それが、ガス障害です。
ガスは目に見えないので、症状が出てから気づくことも多く、
進行すると初期成育が遅れる原因となるので、厄介です。
ガス障害の中でも、アンモニアガス障害が起こると、どのような症状が出るのでしょうか。
[ナス アンモニアガス障害]
■主な症状
・葉の黄化と落葉
アンモニアガス障害が出ると、まず下葉から黄化が始まります。
アンモニアガスは土から発生することが多いため、
地面に近い下葉から影響が出ることが多いです。
アンモニアガス障害の葉の黄化は、葉脈も関係なく、
全体的に色が抜け、黄化します。
その後、葉脈間のみが茶褐色に変色し、症状が進むと落葉しやすくなります。
また、葉全体の黄化のほかに、白化が見られる場合もあります。
被ばくしてすぐは、水浸状になりますが、時間が経つと脱水状態となり、白化します。
・花弁の傷み
アンモニアガス障害は、葉だけではなく、花弁にも症状が出ます。
ナスの花も、花弁は薄く傷みやすいため、
ガスに反応して色が薄くなったり、変色することがあります。
■主な原因
・アルカリ土壌
土自体がアルカリ性に傾いていると、アンモニアガスが発生しやすくなります。
その証拠に、ハウス内などでアンモニアガス障害が発生した場合、
ハウス内に結露した水分を調べてみると、アルカリ性になっていることが多いのです。
・アルカリ資材と肥料
土作りの時、土の酸度を調整するために、
石灰類などのアルカリ性資材を使うことが多いです。
家庭菜園でもプロの農家でも、栽培前に使うことが多いでしょう。
石灰類などのアルカリ性資材と肥料を一緒に混ぜ込むと、
アルカリ性資材と肥料内のアンモニア態チッソがガス化し、
アンモニアガスとなって土中に広がります。
その後、土から空気中に漏れ出て、地上部の葉などに症状が出ます。
■対策
・酸度のチェック
日本は雨が多く、土が酸性に傾きやすいといわれています。
けれど、栽培エリアの周りの環境や栽培法によっては、
土が酸性に傾きにくく、むしろアルカリ性に傾きやすくなっていることがあります。
プロの農家のハウス栽培では、雨が直接降り注がない分、
土が酸性になりにくい場合が多いようです。
そんな場所に、栽培前に必ずアルカリ性資材を混ぜ込んでいれば、
土はアルカリ性に傾きます。
できれば、土の酸度を一度チェックしてみることをお勧めします。
栽培エリア内の数か所の酸度を調べ、その結果に基づいて酸度調整を行いましょう。
・アルカリ性資材の施用量
土が酸性の場所であっても、アルカリ性資材を多量に使えば、
土はアルカリ性に傾きます。
野菜は、どちらかというと中性~弱酸性を好むものが多く、
アルカリ性の土では生育も悪くなりがちです。
酸度計測の結果、弱酸性程度の結果であれば、
多量のアルカリ性資材を施用するのは避け、基本に沿った施用を心掛けましょう。
・土作りのタイミング
土作りをする時、アルカリ性資材と肥料を一緒に混ぜ込むと、
アンモニアガスが発生しやすくなります。
アルカリ性資材を入れる日と、肥料を入れる日を1週間ほどずらしましょう。
苗が準備できたらすぐに定植できるよう、土作りは事前に行っておきましょう。
・炭を混ぜる
すでにアンモニアガス障害の症状が出ている場合、
土に粉状の炭を混ぜ込むことによって、状態を緩和できるといわれています。
炭は多孔質のため、土中のアンモニアガスを吸ってくれます。
とはいえ、応急処置程度の効果なので、
まずは土をアルカリ性に傾けないように調整し、肥料を過剰に与えるのを控えましょう。
■判断基準
おもなガス障害に、アンモニアガス障害と亜硝酸ガス障害があります。
どちらも葉などに症状が出るところは同じですが、
アンモニアガス障害の方が、白化が少ないという特徴があります。
■参考
・ナス 種からの育て方
・ナス 地植えの育て方
・ナス プランターの育て方
・ナス 鉢の育て方
・ナス 受粉のコツ
・ナス わき芽かき 摘芯
・ナス 更新剪定