千両二号

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千両二号

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千両二号

 

スーパーや八百屋で夏の暑い時期に、
いちばん出回るナスが千両二号(せんりょうにごう)です。

 

千両二号は千両と共に 1964年(昭和39年)に生まれ、
それ以降、栽培され続け、日本の代表的なナスの品種です。

 

なお、千両二号はトンネル栽培や秋夏栽培に向いた品種で、
千両はハウス栽培に向いた品種といわれています。

 

千両二号の特徴と栽培のコツをご紹介します。

 

 

[千両二号]タキイ種苗

 

 

■千両二号の特徴

 

・夏秋収穫を中心に、トンネル栽培など広範囲な作型で栽培される品種です。
・千両二号は、極早生品種です。
・品質と栽培性に定評のある品種です。
・全国各地で栽培されている長さが12~15cmが収穫適期の長卵形です。
・果実の色は濃い黒紫色をしており、ツヤツヤして実の揃いがよい品種です。
・果実の皮はやわらかく、さまざまな調理法でも美味です。
・千両二号の節間はやや長めです。
・草勢は勢いがあり、スタミナもある品種です。
・果実の肥大が早く、長期栽培にむいており、生産が安定して多収の品種です。

 

 

■千両二号の栽培のコツ

 

ナスは長期間、未熟な果実を収穫し続ける作物です。
千両二号など品質のよい果実を多く収穫するキーポイントは、
草勢をバランス良く整えて栽培をすることに尽きます。

 

果菜類の中でナスは生長の速さが比較的遅い作物です。
つまり草勢が落ちたりや上昇するのが緩やかです。

 

裏を返すと、草勢の回復に時間が必要な作物でもあるのです。
千両二号の草勢の緩やかさを利用して、適切な草勢判断と対応を行うことで
長期間良いナスを収穫できるようになります。

 

 

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【てしまの苗】H28年4月上旬より順次発送【3株セット】ナス苗

 

 

■千両二号の栽培の詳細

 

*こちら以降、やや専門的ですので、

初心者のかたは、最下段の ■参考 リンクを先にご覧になるとわかりやすいです。

 

●定植前後の管理
栄養生長と生殖生長=茎葉が健康に茂りながらも着果する、
バランスが一番良い状態で定植できるように圃場や苗の準備をする時期です。

 

・千両二号を長期に収穫する場合は、疎植をお勧めします。
・1㎡当たりの元肥基準施肥量は、
成分量で窒素(N)20~27g、リン酸(P)25~31g、カリ(K)20~27g程です。
堆肥では1㎡当たり2.5~2.7㎏、苦土石灰(CaCO3+MgCO3)は70~90g鋤き込みます。
・枝の仕立る本数により異なりますが、
畝幅は200~230cm、株間は60~75cmで定植します。
・ナスは風で揺られて葉などに果皮が触れるだけでも傷が付きます。
傷のない果実の収穫を目指す場合、前もって防風ネットを設置すると良いでしょう。
・千両二号の定植の時期は、1番花の開花直前の苗です。
・圃場(畑)へ活着するのと同時に開花するように定植すると、
栄養生長系(根、茎、葉)と、生殖生長系(花、果実)にバランスよく、
栄養を配分できる株に育ちます。
*栄養成長系と生殖成長系の、
バランスのとれた状態を「草勢が良い」と言います。

 

●定植後から梅雨くらいまでの管理
草勢の安定をめざして、千両二号を順調に着果させるよう、
成りぐせをつけて順調な収穫ができるようにする時期です。

 

・果実のホルモン処理
千両二号の植えつけ後、10~20日間くらいは、
栄養成長ないし生殖成長の釣り合いがとれないことがあります。
果実の状態では、着果が安定しなかったり、
寒さで石ナス(固いナス)になる期間があります。
3番花前後までは草勢が不安定なことが多いので、
ホルモン処理をして必ず着果させましょう。

 

・整枝や仕立ての本数
千両二号の初めての整枝は、1番花の直下の側枝を2本残します。
それ以下にあるわき芽を摘みます。
その後主枝と強い側枝を4~6本選んで誘引し、仕立てます。

 

・枝の誘引
千両二号の基本はV字型の誘引です。
支柱を2.5~3mおきに立てます。
65cm前後の高さから上へ20~30cm間隔でビニルひもを張り、
枝が垂れ下がらないように誘引します。

栽培に時間をかけられない場合、
剪定せず、圃場に対し水平にフラワーネットを2段張り、
枝が倒伏しないように誘引するやり方も良いです。

 

・側枝の剪定
千両二号の側枝の剪定は、収穫方針で3種類に分けられます。

 

◎収量第一で収穫する場合の側枝の扱い方
花数を多くして収量総量を上げるように、側枝をほぼ放任します。
整枝は細い側枝を間引きます。

梅雨明け後に栄養成長に偏りやすいので、
品質が悪くなることを見越して、更新剪定や強剪定をして秋の収穫に備えます。

 

◎品質第一で収穫する場合の側枝の扱い方
1次側枝は1花目の先に葉を1枚残し摘芯します。
1次側枝の1花目を収穫するとき、主枝に近い2次側枝の1芽目を残して切ります。

残した2次側枝が伸びてきたら、
同様に摘芯・収穫・切り戻しを行います。
このような摘芯で着果の負荷が減り、
栽培の後半も草勢が安定して品質の良い果実を収穫できます。

 

◎上記二つの中間の場合
1次側枝は品質第一の場合と同様に摘芯します。
収穫のときに、2次側枝の2芽を残して切ります。
残した2次側枝が増えるので、収量が増えます。
収量第一の場合と同じように梅雨明け後に葉が茂り過ぎたら、
強めに整枝すると樹勢が整います。

>>ナス わき芽かき 摘芯

 

・追肥
千両二号の追肥を始めるのは、1番果収穫時がお勧めです。
・化成肥料の場合、
1㎡当たり窒素(N)成分3gを
株の状態を見つつ、およそ10~15日に1度の割合で施します。
・液肥の場合、
1㎡当たり窒素(N)成分1gを
株の状態を見つつ、およそ5~10日1度の割合で施します。

 

・草勢判断と対応
草勢判断は生長点近くの花や茎葉の状態を見て判断し、早めに対処しましょう。
千両二号の草勢診断の基準と対応は以下を参考にしてみてください。

 

◎草勢が強い株の特徴
開花の位置は枝先から20センチ以上下です。
枝先から花芽の間に4,5枚葉があります。
つぼみは大きく、萼(がく)のトゲは長いです。

花は大きく、花の色は濃いです。雄しべが雌しべよりも長い、
長花柱花です。生長点付近の葉は大きく色が濃いです。
生長点付近の茎は太く、しっかりしています。

 

◎草勢が強い株への対応
下葉の摘葉はなるべく早く行います。
一番果は、草勢が落ち着く兆しが出てから収穫します。
一回目の追肥は草勢が落ち着くまでする必要はありません。

2回目以降の追肥の場合は、施肥間隔を長くとります。
収穫する果実の大きさは19~22cmを中心に収穫します。
草勢が強いと実が付きにくいため、3番果以降もホルモン処理をします。

 

◎草勢が弱い株の特徴
開花の位置が枝先から10センチ以内で開花します。
枝先から花芽の間に1,2枚葉があります。
つぼみは小さく、萼(がく)のトゲは短いです。
花は小さく、花の色は淡いです。
雄しべが雌しべと同じくらいの中花柱花か、
雄しべが雌しべより短い短花柱花です。
生長点付近の葉は小さく、色が淡いです。
生長点付近の茎は細く、弱々しいです。

 

◎草勢が弱い株への対応
下葉の摘葉は遅めに行います。
草勢が弱いので一番果は、摘果ないし小さいうちに収穫します。
一回目の追肥は葉面散布、または吸収の早い液肥を早めにします。
2回目以降の追肥の場合は、施肥間隔を狭めます。

収穫する果実の大きさは13cm以下で収穫します。
分枝についた果実の他に、色ボケナス、石ナスなど早く摘果し、草勢を整えます。

 

 

トゲに気をつけて美味しい実を栽培しよう!

 

 

●梅雨明け以降の管理
梅雨明け後は乾燥隣疲れで草勢が低下しやすい時期なので、
千両二号の草勢の維持がポイントとなります。

 

・圃場の乾燥対策

梅雨が明ける前に藁を圃場にまんべんなく敷き詰めます。
千両二号の根の伸長に最適な地温は28度で、最高地温は38度です。

夏場の気温が35度を超えると、
地温はさらに高くなる時間帯があることが予想されます。
敷き藁は圃場の乾燥対策以外に、地温の上昇を抑える役割も兼ねるので、
ナスの根を守るためにもお勧めします。

 

・水やり
千両二号は葉が大きい分、蒸散量も多くなるので、
梅雨時よりも水を意識してやる必要があります。
水分が足りなくなると、草勢が低下したり、果実が大きくなりにくくなったり、
つやのない果実ができたり、電球のような果実ができる原因にもなります。
こまめに十分な水やりを行い、圃場の湿り気を適度に保つように管理します。

 

・摘葉
下位葉や込みあった葉、黄化した葉を摘葉し、風通りと光の当たり具合を整えます。摘葉の際

多く取りすぎてしまうと草勢の低下の原因になります。

一回の摘葉で1株当たり2~3枚までにとどめておきます。

 

・収穫
千両二号の着果の負担を減らしながら草勢を維持します。
そのために、梅雨の間よりもやや小さめサイズで収穫し、
分枝にできた果実や石ナス果などは発見し次第切除します。

>>ナス 収穫時期は?

 

・更新剪定
それぞれの主枝の強い芽を残して、2~3分の1の長さまで切り戻します。
時期は7月中旬から8月上旬くらいまでの間に行います。
選定の時期が遅いほど剪定で落とす枝の長さを短く切ります。

>>ナス 更新剪定

 

・台風対策
風害による、葉の傷み、枝折れや傷果を防ぐよう、
台風が来る前に小さい果実も収穫します。
また、枝を支柱などにしっかり固定します。
台風一過となったら、病気の蔓延を防ぐために殺菌剤を葉面散布します。

 

●適作型
以下の時期は目安としてご利用ください。

 

<半促成栽培>
播種:前年の10月中旬~12月中旬ごろ
ハウスに定植:1月中旬~3月頭ごろ
収穫時期:2月下旬~4月頭ごろにスタートし、10月中旬ころまで

 

<トンネル栽培と露地早熟栽培>
播種: 1月初旬~2月下旬ごろ
トンネル内に定植:4月頭~5月初旬ごろ
収穫時期:5月中旬~6月中旬ごろにスタートし、10月中旬ころまで

 

<露地抑制栽培>
播種:5月下旬ごろ
定植:7月中旬ごろ
収穫時期:8月下旬ごろスタートし、10月末~11月中旬ころまで

 

■参考
・ナス 種からの育て方
・ナス 地植えの育て方
・ナス プランターの育て方
・ナス 鉢の育て方
・ナス わき芽かき 摘芯
・ナス 更新剪定



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