SL紫水
SL紫水
SL紫水(えすえるしすい)には、
ナス特有の葉や茎や萼(がく)についている鋭いトゲが少ないです。
栽培中から収穫後までナスも人も、
トゲに刺さることが少なくなる驚きの品種がSL紫水です。
それでもたまにトゲが出てきますし、
デリケートな実もなるので、軍手をしながらの作業にはなります。
では、画期的なSL紫水をご紹介します。
従来のナスのトゲは、人や果実に刺さり悩みの種です
[SL紫水]タキイ種苗
■SL紫水の特徴
・水ナス系のナスです。
・夏秋栽培に適しています。
・適作型は半促成、トンネル、露地早熟、露地抑制をお勧めします。
・収穫時期は極早生です。
・茎葉にトゲがありません。
・草の勢いはそれほど旺盛な品種ではありません。
・草型の開張性は中程度です。
・枝はいくぶん太めで、節と節の間隔は中程度から短めです。
・果実のヘタにもほとんどトゲは発生しません。
・実はやや長めの丸形で、そろいがよい品種です。
・好条件下で育つと、果実の色は
黒くて濃い紫色をし、つやつやになる品種です。
・花痕(花がついていた部分)部の大きさは中から小さめの品種です。
・一つの果実は80から130グラムくらい、
未熟の状態で収穫するとおいしくいただけます。
■SL紫水の栽培のコツ
●圃場づくり
水ナスは、土壌の乾燥に敏感ですが、どの土壌にも適応できます。
保湿性が高く、粘土質の少し重い圃場を好みます。
水田の跡地利用が理想ですが、
畑の場合は堆肥を混ぜながら深耕し、
保水性を高めると水ナス向けの圃場になります。
砂の多い圃場では、腐葉土を混ぜるなど、
土壌水分の管理をよりきめ細かく行うことで良品のナスを収穫できます。
接ぎ木苗が育てやすいです
●接ぎ木栽培
連作障害等の土壌病害からの回避や環境適応力を高めるため、
接ぎ木栽培をお勧めします。
夏秋栽培の場合の接ぎ木は、
耐暑性や青枯病に強い台木がお勧めです。
●土壌水分の管理
水が大好きなナスは、土壌の水分不足は大問題で、
果実が固くなる原因になります。
実が固くなったからといって急に水やりをすると、
裂果を助長する一因になりますので、
水やりは第一花芽がつくころや、梅雨明けあたりから気を付けます。
収穫期の水ナスの水やりは、
時には灌水の必要もでてくる土壌水分管理になります。
土壌水分管理の助っ人としてワラマルチを一番にお勧めします。
ビニールマルチは、水分の乾燥をある程度防げますが、
地温が上昇しすぎないよう管理する必要があります。
地温の管理を適切に行えば、ビニールマルチでも栽培できます。
アブラムシ対策も同時対応できる反射マルチも有効です。
ワラマルチがお勧めです
●施肥管理
ナスは水も大好きですが、
肥料、特に窒素やカリ、苦土(酸化マグネシウム)も欠かせません。
苗の時期、肥料のやりすぎは徒長の原因になりますので注意します。
元肥は、緩効性肥料を利用し、
深耕する際に圃場にすき込みます。
追肥の初回のタイミングは、第一果ができた頃です。
収穫期に窒素やカリが不足すると短花柱花が増加します。
花を観察しつつ、追肥時期を見計らい
徐々に株から離れた場所へ追肥して行きます。
●傷果の発生防止
トゲは少なくても良品のSL紫水は、果皮が柔らかく、とてもジューシーです。
風害などによる傷を避けるため、
枝や葉が風で揺れないよう、枝つりや誘引を早めに行います。
●適作型
以下の栽培管理時期は目安です。
圃場に合わせた作型で作付してください。
どの栽培型でも、3番果くらいまでは、
果実が数センチ程度に成長したら心を鬼にして収穫します。
3番果くらいまで早取りした株は、丈夫になって収量も上がります。
<半促成栽培>
播種:前年の10月初旬~11月下旬ごろ
ハウスに定植:1月中旬~3月頭ごろ
収穫時期:2月中旬~4月頭ごろにスタートし、7月初旬~8月中旬ころまで
<トンネル栽培>
播種: 前年12月下旬~2月頭ごろ
トンネル内に定植:3月下旬~4月下旬ごろ
収穫時期:4月中旬~5月下旬ごろにスタートし、10月半ば~11月初旬ころまで
<露地早熟栽培>
播種: 2月頭~2月下旬ごろ
定植:4月下旬~5月中旬ごろ
収穫時期:5月中旬~6月中旬ごろにスタートし、10月半ば~11月中旬ころまで
<露地抑制栽培>
播種:4月中旬~6月中旬ごろ
定植:6月中旬~8月中旬ごろ
収穫時期:7月初旬~9月初旬ごろにスタートし、10月末~11月中旬ころまで
■参考
・ナス 種からの育て方
・ナス 地植えの育て方
・ナス プランターの育て方
・ナス 鉢の育て方
・ナス わき芽かき 摘芯
・ナス 更新剪定